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音響バリヤ

サイゼリア

2013年のよく覚えてるCD達(と、遠くへ行ってしまったCD達)

2014年にこんばんは。

毎年すっかりタイミングを逃して、やりたいと思いつつ出来ずにいた、「その年のベストアルバム」的なもの。2011年以降すっかりブログ活動も停滞し、CD購入活動さえも落ち着いてしまっていた昨今、並み居る音楽リスナーの方々にとっては何も目新しくないラインナップ程度しか聴きこめていないという事実を、意識の外に払いのけてまでも、総括しなければならない、という情熱は、もはや失われていた。否、怖気づいていた。

でも、かといって2013年を振り返るのに適した対象・媒介が他にあるかと言うと、それも見当たらず、単純に日記的に振り返ることが出来るほど愉快な年月を過ごしてもいないので、結局手近なところで音楽を振り返ることになった。そもそもここ、音楽ブログとして心機一転はじめようとして、結果やっぱりほとんど何も始まってない不作地帯だった。否、耕してすらいなかった。

今年は少しでも始めよう。ほんのちょっとでも聴いた音楽のことを書こう。そんな「今年は飲み物のちょい残しはやめよう」と同じくらいの固い決意表明の一環として、以下、書き出したりしてみました。

あくまで自分の聴けた範囲の中で、印象に残ったものの羅列になります。10枚に絞るとか器用なことも出来ず、ランク付けで頭を悩ますストレスにも耐えられなかったので、順番は発売日順です。

 

Mowgli(ボーナス・トラック4曲収録 / 解説・歌詞・対訳付き)

Mowgli(ボーナス・トラック4曲収録 / 解説・歌詞・対訳付き)

 

ベースミュージック以降なるもののリズム感は瑞々しく、粒とスタイリッシュさを意識した音の構築、冷んやりと内省的なメロディは、心あたたまる満足感を余韻に残してくれる。WARP好きの人にもハマるはず。僕はツボ。

 

You Are Eternity

You Are Eternity

 

 すさまじい圧迫感。暴風と共に生きて蠢く分厚いビート。脳みそがすり潰される快感に陶酔。 

 

RADIO ONSEN EUTOPIA

RADIO ONSEN EUTOPIA

 

 一発ライブ録音で圧縮・解放されるやくしまるさんの天真爛漫な私的終末空間。贅沢で理想的なベッドルーム・バンドサウンド。今年は相対性理論よりもこっち。

 

Cloud Room Glass Room

Cloud Room Glass Room

 

ポスト残響ロックという趣。 何も無い誰もいない部屋の中に居て、別の何処かから靄がかかって響いてくるドラムと持続音のみが、かろうじてここに空気があることを教えてくれる。 

 

Random Access Memories

Random Access Memories

 

 ダンス&アーバンソウルのパラレルワールド。電子音楽の響く街で、人の内側の反転世界で燻され続けていたもう一つの音楽の形が、ヘルメットの奥の目に見透かされる。

 

Borderland

Borderland

 

デトロイト・テクノとベーシック・チャンネルの融和。溶け合った末の微睡み。自分の心臓のbpmに最も一致している音楽はこれだと言い張る。 

 

 深淵を感じさせる女性ボーカルと、その周りを力強く上品に飛び回る冷たくもマジカルな電子音には、驚きと共に胸躍るポップセンスが。

 

Disappearance

Disappearance

 

 ねっとりと、お互いの温度を弄り合うような、ピアノとドローンと雑音のフィジカルな会話。教授の仕事の中でもとても即興的、なのにデザイナブル。

 

Beyond

Beyond

 

 優しくもたれ合うピアノとギターと電子音。一つ一つの音色が温かく、きめ細かく、完全なコントロールで調和されているのに、堅苦しいどころか、爽やかな深呼吸ができる。日本だからこその感性にあふれた愛しい一枚。

 

LEVEL3(初回限定盤)(DVD付)

LEVEL3(初回限定盤)(DVD付)

 

 世界を視野に入れたEDMへの挑戦と、言葉だけが形骸化した真のクールジャパンへの意志。人を驚かすことと踊らすことはアートとしてもエンターテイメントとしても両立することの証明。本当の「未来志向」の一つの収束点。

 

ATAK019 Soundtrack for Children who won't die, Shusaku Arakawa

ATAK019 Soundtrack for Children who won't die, Shusaku Arakawa

 

 緊張とレクイエム。反復と忘却。映画のサントラでありながら、ピアノとノイズの立体的な交錯の隙間から溢れ出る、明晰なのに形のない新しいフィールド。その超越した没頭体験は、霊的でさえある。きっとそこには私的な祈りまでも込められて。

 

Christophe Charles - hcdc

 http://murmurrec.cart.fc2.com/ca105/903/

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インダストリアル・ドローンとでもいうのか、機械の中にいるのか、それとも宇宙?聴く者の周囲の空気を重低音に変換し、漂う粒子を視覚化することが、音楽には出来るらしい。物理的に魂まで響いた。驚異的な1曲42分。

 

 それと、タワーレコード横浜モアーズ店の閉店

ごくごく個人的に、これが音楽環境の変化に多大な影響を及ぼした。

横浜在住の身として、CDに囲まれる場、新譜を手に取って試聴できる貴重な場であったのに、これが絶たれてからと同時に、すっかり新譜キャッチのアンテナ感度が鈍ってしまった。休日や帰宅途中にCD屋に寄れないというのは、購入機会が減少するだけでなく、新しい音楽と接するチャンス、情報、意欲にまで影響し、「常に新しい音楽が次から次へと生まれている、その"現場"が見えなくなること」の恐ろしさを、身をもって今、体感している。まるで現場など無いかのように、「好きな音楽」が更新されず停滞する危機感を感じている。

もちろん横浜店、品揃え的には渋谷・新宿店にはかなわず、ましてや音響系などちょっと名の知れたほんの一部しか置かれなかったのだが、それはそれで「飢餓感」を常に与えてくれていた。

気軽にCDを買えて、音楽と共に生活し、音楽から世界の一歩先を感じ取る、そのためにはやはり身体的な行動と現場環境が不可欠なのだった、自分にとっては。今や飢餓感さえも忘れてしまったことは、ある意味良い事と言えるのかもしれない。でも、アンテナが鈍り、未来へのカンを失うことは、悲しいことだと、心の底から声がする。音楽は心に作用し、自分が向かいたい未来の空気を先に纏わせてくれる。

なら、ネット通販にアンテナを最適化すればいいだけの話じゃないか。その通りなんだ、その交換が上手く行ってない、過渡期にあるだけの心情に過ぎない。しかし一体世の音楽好きの人々は、次々とレコード屋が消えていく今、この危機感、音楽の現場体感を、どうやって乗り越え、獲得しているのだろう。渋谷に引っ越せばいいのか。YouTubeやsoundcloudで発掘するためのアンテナを養えばいいのか。ライブ現場に足繁く通うことで代替昇華しているのか。なんだか、不安なんだ、CD屋に行く機会が一気に減っただけで、漠然と。もしこのままゆっくりと、音楽から離れていってしまったら、このブログ、マジいみねーなー・・・

 

・・・という想いを綴るのが、2013年の音楽のアレコレについて語るのに欠かせないな、と思った次第でした。

ちなみに、これを書きながら聴いていたのは、最後まで入れるのを迷ったATAK020でした。でもこれ、もう2014年の音楽にしよう。未来纏いすぎてる。